母の日アレンジ

 

世界各国で「母の日」はいつ、どんなお花やプレゼントで祝うの?

日本の「母の日」は、5月の第2日曜日です。

大切な母親に感謝を伝える日ですが、毎年のことなので「いつもと同じカーネーションの代わりに、なにか良いアイディアは無いかな?」と考えてしまうこともありますね。
そこで、世界各国の「母の日」の由来や、いつ、どのようにお祝いされているのかを見てみましょう。もしかしたら、一味違うプレゼントやお祝いのしかたのヒントになるかもしれません。

 

1.イギリスの「母の日」は5月ではない!?

「母の日」は、世界中どこでも同じ日と思われているかもしれません。
けれどもイギリスでは、「母の日」は5月ではないのです。
実は、イギリスの「母の日」は、イースターの3週間前の日曜日(3月中旬から下旬)です。

 

イギリスの「母の日」のルーツ「マザリング・サンデー」

イギリスの「母の日」の起源は古く、中世から16世紀にかけて定着した「マザリング・サンデー」という、キリスト教の慣習が元になっています。
この日、人々はそれぞれの「母なる教会(マザー・チャーチ)」に行き、聖母マリアに祈りを捧げるならわしでした。「母なる教会」は、洗礼を受けた教会だったり、教区の教会だったりと、さまざまですが、住み込みの使用人もお休みをもらい、母親や家族と教会に行ったということです。
やがてアメリカの「母の日」の影響を受け、1950年ごろになると「マザリング・サンデー」は聖母マリアだけでなく、母親を讃える日として定着しました。

 

イギリスでの「母の日」の祝い方

イギリスでも、「母の日」のお祝いは、カーネーションやバラなど、季節の花束のプレゼントが定番です。さらに、「母の日」に「シムネル・ケーキ」を食べるご家庭も多いのだとか。シムネル・ケーキは、ドライフルーツがたっぷり入ったケーキの上に、マジパンで作った丸いお団子が11個並んでいるのが特徴です。マジパンが11個なのは、キリストの12人の使徒のうち、裏切り者のユダを除いた11人を表しているそうです。

シムネル・ケーキ

ケーキのデザインも、キリストの物語を表現しているのですね。
コロコロと丸いマジパンが可愛らしいシムネル・ケーキ、いつか食べてみたいものです。

simnel cake
James Petts from London, England – Simnel cake

CC
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/

 

2.フランスの「母の日」と、意外なルーツ

フランスの「母の日」は、5月最後の日曜日です。
ただし、5月最後の日曜日がキリスト教の祝祭日と重なる年は、6月最初の日曜日になります。
フランスのママンも、やはり花束や香水などのプレゼントをもらったり、家族とディナーを楽しんだりするそうです。

フランスの「母の日」のルーツ

フランスの「母の日」のルーツは、キリスト教起源のイギリスとは違っていて、少し意外に思われるかもしれません。
フランスでは、「出生率の低下問題」から「母の日」のルーツが生まれました。
19世紀後半、フランスの出生率は下降気味で、当時の敵国、帝政ドイツに負けてしまうのではないかと心配されていました。
そのため、人口を増やす政策や運動がさかんに行われ、子だくさんの父母を表彰したのが「母の日」の始まりだそうです。

フランスに米国流「母の日」を伝えたアメリカ兵

大家族の父母を讃える習慣が芽生えたところに、第一次世界大戦が勃発しました。

多くのアメリカ兵が仏英連合の支援軍として、ヨーロッパで戦闘に参加しましたが、彼らはこぞって、「母の日」に祖国アメリカで待つ母親たちに絵葉書を送りました。
その数はとても多く、フランスでも「母の日」用の絵葉書が作られるようになったそうです。

第一次世界大戦後、戦争で夫や息子を亡くした母親を励ます「母の日」が一部の都市で始まり、1926年には、大家族の母親を賞賛する日として、政府に公認されます。

このように、子だくさん奨励の意味合いが強かったフランスの「母の日」ですが、1940~50年頃には現在のように、全ての母親を讃える日になりました。

 

3.オーストラリアで定番の「母の日」のお花は?

続いて、南半球に行ってみましょう。
オーストラリアの「母の日」には、どんなお花がプレゼントされるのでしょうか?
日本の私たちにはちょっと意外かもしれませんが、「菊」なのです。
もっとも、日本で「菊」と聞いて真っ先に思い浮かべる和菊ではなく、オーストラリアで使われるのは、西洋の菊(マム)です。

 

オーストラリアの「母の日」は秋

オーストラリアの「母の日」は、アメリカや日本と同じ、5月の第2日曜日です。
南半球のオーストラリアでは、5月は秋になります。つまり、菊(マム)がいちばん美しく咲く季節なのです。
しかも、マム(mum;フルで書くとChrysanthemum クリサンセマム)はイギリス英語やオーストラリア英語では「ママ」を指す言葉と同じスペリングです。季節がちょうど良いだけでなく、名前の上でも、マムはオーストラリアの「母の日」にぴったりのお花なのですね。
もちろん、マムだけではなく、アメリカや日本のように、カーネーションやバラも人気ということです。

 

4.メキシコの「母の日」には歌のプレゼント!

メキシコの「母の日」は、1922年にアメリカから輸入されてはじまりました。
母親に花を贈ったり、レストランや自宅でディナーを楽しんだり、というのは多くの国と同じです。
しかし、さすが陽気で情熱的な国、メキシコ。
なんと、歌のプレゼントも「母の日」の定番だそうです。
メキシコには「マリアッチ」と呼ばれる伝統音楽と楽団があり、お祭りや宴会に欠かせない存在です。毎年5月10日の「母の日」にも、母親への感謝を込めて、マリアッチの曲を家族みんなで歌います。家庭によっては、マリアッチの楽団を自宅に呼んで生演奏をしてもらうこともあるそうです。
本物の楽団が自宅に来るなんて、すごいですね!
日本では楽団を呼ぶのは難しいですが、音楽好きのお母さんには、家族の心のこもった歌やCDをプレゼントするのも良さそうです。

 

5.ネパールの「母の日」は、「母の顔を見る日」

ネパールでは、4月の新月が「母の日」で、「母の顔を見る日」と呼ばれています。
この日、ネパールの人は、母親に甘い物などをプレゼントするのが習わしです。
また、母親を亡くした人は、毎年「母の日」にマタティルタという村まで巡礼に行きます。
マタティルタ村では、池に捧げ物を浮かべて水浴びをする、ヒンズー教由来の儀式が行われるのです。
この儀式によって母親の霊に平穏をもたらし、池に映る母の顔を見られると考えられているそうです。信心深いネパールの人々の、親を思う心が伝わってくる習慣ですね。

 

6.アメリカの「母の日」創始者の想い

最後に、多くの国に影響を与えた、アメリカの「母の日」はどうでしょう?。

 

アメリカ「母の日」のはじまり

アメリカの「母の日」の創始者は、アンナ・ジャーヴィスという女性です。
アンナの母親は、地域の母親たちと「マザーズ・デイ・ワーキング・クラブ」という組織をつくり、公衆衛生や教育の向上に取り組む社会活動家でした。
その母が1905年に亡くなると、アンナは3年後の5月、記念の式典を開き、母と、全ての母親たちを讃えたのです。
その式典の参加者には、アンナの母が生前愛した、白のカーネーションが贈られました。

白い色は真実、純潔や、母親の無償の愛の象徴で、花びらを落とさず、胸に抱き寄せるように枯れていくカーネーションが、永遠につづく母の愛にふさわしいと、アンナは考えたのです。

その後、アンナは「母の日」を祝祭日と認めさせる活動を展開し、1914年、アメリカ政府の正式な認定を獲得しました。
カーネーションを「母の日」に贈ったり、身に着けたりする習慣もすっかり定着します。

さらに白のカーネーションだけでなく、他の色の花も買ってほしいフローリストたちの働きかけで、「母親を亡くした人は白」、「母親がいる人はピンク」という新ルールが登場し、グリーティングカード会社が母の日用のカードを販売するようになりました。

母の日に贈られる白いカーネーションやカード

 

現在のアメリカでは「母の日」をどう祝う?

今でも、アメリカの「母の日」のプレゼントは、カードと花束が定番です。
また、パパや子どもたちが朝食をベッドまで持ってきてくれる家庭もあるようです。
まるで、映画やドラマみたいですね!

 

創始者が「母の日」アンチに!?

実は後年、アンナ・ジャーヴィスは、自分がはじめた「母の日」があまりに商業化されたことを批判するようになりました。

しかし、毎年繰り返し使える、白いカーネーションのブローチを無料で配り、「市販のカードではなく、手書きの手紙を」と訴えるアンナのメッセージとは裏腹に、「母の日」の商業化は進む一方でした。なんと、商業的なイベントの妨害をして逮捕されたり、「母の日」廃止の署名運動まで行うようになったアンナは、経済的に苦しい晩年をむかえました。
最晩年をサナトリウムで過ごしたアンナですが、その費用が「母の日」で収益を上げた、カードと花の業界から出ていることを、彼女が知ることはありませんでした。

なんとも複雑な気持ちになるお話しですが、母親に感謝する想いが何よりも大切、というアンナのメッセージを忘れてはいけませんね。

 

まとめ:母親への感謝を大切に

以上、世界の「母の日」を見ていきましたが、やはり最も大切なことは、母親に感謝する気持ちということに気づかされます。
皆さまもぜひ、お母さまから受けた愛情を思い出しながら、それぞれの方法で感謝を伝えてくださいね。
よろしければ、FLOWER*FORTUNEの母の日特設ページもぜひご覧ください。
心をこめたプリザーブドフラワーのフラワーアレンジメントを多数ご用意しています。

 

母の日特集