緑色のはなし
緑色のはなし
木々が葉を落とし、夜がいよいよ長くなる頃
失われた色彩とぬくもりを取り戻そうとするかのように
街や家々にはクリスマスカラーが踊りだします。
赤、白、金、銀
さまざまな色彩の中、やはり欠かせないのは何といっても緑です。
クリスマスツリーはもちろんのこと、リースやヒイラギなどの緑は、暗い冬に生命感を与えてくれる上
他のどんな色もいっそう引き立ててくれる名脇役でもあります。
クリスマスにグリーンを飾る習慣は、実はキリスト誕生よりも前からヨーロッパ各地にあったそうです。
古代ローマでは冬至の時期に農耕の神サートゥルヌスを祭るサートゥルナーリア祭が盛大に行われ
月桂樹の枝などがキャンドルやランプとともに飾られました。
これらの緑は永遠の命の象徴であり、灯りには暗闇を払いのける意味がありました。
このサートゥルナーリア祭ではプレゼント交換も行われていたそうで、現代のクリスマスの原型が
キリスト教の普及以前から既にあったことは、とても興味深いですね。
ローマだけでなく、ヨーロッパ北部のケルトやゲルマン民族も冬至に祭りを行い、
そこでも常緑の緑が儀式や装飾に用いられてきました。
日本で正月に飾られる門松やセンリョウなども、緑に生命や繁栄への願いがこめられています。
このように歴史を紐とくと、一年で最も寒く日の短い時期、緑の植物に願いを託すことは、
時代も地理も宗教も越えた普遍的な行いであることが分かります。
季節はリースの輪のように毎年着実に巡っていきます。
時の流れとはこのようなリースが少しずつ変化しながら、次の年へとスパイラルに受け継がれていく
ものなのかもしれません。
さて、今年の冬はどのような想いをのせてグリーンを飾りましょうか。
文 御木里空
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