迎え日の日にお盆を想う

 

迎え火の日にお盆を想う

 
今日は7月13日。
地域によって異なりますが、東京や横浜、北海道など7月にお盆を行う地域では、ご先祖様の霊を迎える「迎え火」をする、お盆の初日にあたります。
その他の地域では、一か月後の8月がお盆というところが多いようです。
 
旧暦7月1日に「あの世」の蓋が開き、ご先祖様の霊が子孫の家にやってくるまでに2週間ちかくかかるので、この日に迎え火をするのだとか。
いまどきのご先祖様の中には、新幹線やタクシーに乗って早めに到着しかねない、「できるビジネスマン」のような方もいらっしゃりそうですが、お迎えの準備が整わないうちにお越しになっては大変です。
伝統は守っていただくようお願いしたいですね。
 
キュウリとナスに割りばしで手足をつけ、それぞれを馬と牛に見立てたものが、ご先祖様の正式な交通手段です。
来るときは足の速い馬で、お盆が終わった後は牛に乗ってゆっくりと帰っていただく、ということで二通りの移動手段が用意されたようです。
日本の文化には「見立て」が数多く見られますが、お盆の馬と牛は、素朴ながら愛情とユーモアが感じられる飾り物ではないでしょうか?
 
さて、近くまでやってきたご先祖様が迷わないよう、「おがら」と呼ばれる皮を剥いだ麻の茎を玄関前で焚いてお迎えするのが、迎え火です。
 
こうしていらっしゃったご先祖様は、お供え物でもてなします。
お供えは、精進料理の御膳に果物・菓子、水、お線香、蝋燭、そしてお花も欠かせません。
 
遠方から戻ってきた家族・親戚とのお墓参りや、盆踊りに夏祭りもこの時期の過ごし方の定番です。
 
お盆の締めくくりは送り火でご先祖様をお見送りをする、というのが本来の流れですが、一般のご家庭では、火を使う迎え火や送り火は省略することが多いかもしれませんね。
 
地域や家庭ごとに、お盆の習慣には様々なバリエーションがあります。
皆さんはいつもどのように過ごされていますか?
 
宗教の有無に関わらず、身近な人の死や、来るべき自分の死をどう受け止めるかは、人間にとって大きなテーマです。
日本古来の祖霊信仰と仏教が融合したお盆の習慣は、各地の自然風土の中で受け継がれてきました。祖先からつながる生死の輪への敬意をはらう夏の風習として、仏教徒ではなくても、この時期、祖先や亡き人々へ思いを馳せる時間を特に大切にしたいと思います。
 
 

文と写真 御木里 空

 

プリザーブドフラワーの仏花