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  世界を満たす色をめぐって 日本語に「喜色満面」「顔色をうかがう」「気色ばむ」などの表現があるように、色と人間の感情にはつながりがあると昔から考えられていました。 西洋でも、アリストテレスの「色彩論」にはじまり、古代より人は色について思索を重ねてきました。 19世紀には、ゲーテとシラーが「気質の薔薇(rose of temperaments)」という理論を発表し、12種類の色と人間の気質、さらには職業の関 ...
FLOWER*FORTUNEの定番 “CUBE”   その音の色、その色の音 物心ついてまだ間もない頃、ピアノを習い始めた時に使った教材は、 ドレミのひとつひとつの音を色で視覚的に覚えさせるメソッドでした。 ドは赤、レは黄色、ミは緑色…といった具合に。   鍵盤の奥にそれぞれの色の紙を差し込み、教材の音符に色ぬりをして、 色に合わせ鍵盤をひとつひとつ押さ ...
  ポマンダー   ポマンダーの芳香 夏の暑さが和らいだとたん、日が暮れるのが本当に早くなりましたね。皆様はいかがお過ごしでしょうか? コロナも長期化する中、季節の変わり目こそ、免疫力と朗らかな気持ちをキープしたいもの。 そこで、今回は中世から病気予防や魔除けとして使われてきた、ポマンダーのお話です。   ポマンダーの名はフランスのpomme d’ambre(琥珀のリンゴ)か ...
彼岸花   お彼岸に寄せて   春と秋のお彼岸には、お墓参りに行く習慣がありますが、その由来や意味をご存知でしょうか? かく言う私も、お彼岸と聞くと瞬時に「おはぎ」や「ぼたもち」が脳裏に浮かぶ以外、きちんと知らないことばかりだったので、この機会に調べてみました。   お彼岸はインド・中国にはない、日本固有の仏教行事です。 平凡社の『改訂新版・世界大百科事典』によると、春分・秋分を中日として、 ...
  迎え火の日にお盆を想う   今日は7月13日。 地域によって異なりますが、東京や横浜、北海道など7月にお盆を行う地域では、ご先祖様の霊を迎える「迎え火」をする、お盆の初日にあたります。 その他の地域では、一か月後の8月がお盆というところが多いようです。   旧暦7月1日に「あの世」の蓋が開き、ご先祖様の霊が子孫の家にやってくるまでに2週間ちかくかかるので、この日に迎え火をするのだとか。 ...
  雨の予感とカポーティ 今年の梅雨は、降ったり降らなかったり、ずいぶん気まぐれですね。 空を覆う重い雲を眺めていたら、トルーマン・カポーティの短編小説「無頭の鷹」を読み返したくなりました。 まだ二十代前半だったカポーティが人間心理の危うさを鋭利な筆致で描いたこの作品は、短編集『夜の樹』に収録されています。   舞台は1940年代のニューヨーク。 今にも雨が降り出しそうな、蒸し暑い七 ...