今日は父の話をしたいと思います。
先日は父の命日でした。
早いもので、亡くなってから今年で10年になります。

 

私の家は楽器レコード店で小さいながら音楽教室をやっていました。
私が音楽好きなのは実家がそうだからとよく想像されますけれど、多分それはあまり関係がないように思います。
と言うのも、父はもともと音楽が好きでその仕事に就いていたわけではなく、さほど音楽に詳しい人でもなかったから。
あまり自分の話をする人でもなかったので、父が病床につき私が介護する立場になって初めて父のカメラマン時代の話を聞きました。
 
父の兄はフィリピン沖で戦死していて、生前は鹿児島の海軍航空隊で偵察機から撮影する任務に就いていました。
そのカメラを譲り受けた父は、その後東京の新聞社でカメラマンに。
 
なんとなく周りから聞いていたものの、本人から当時の話を聞くことはそれまで1度もなくて、武者小路実篤のポートレートを撮っていたなど、当時の話をする時の父の顔はいつもとは違う様に見えました。
 
新聞社を辞めたのは、当時身体を壊したことの事情だけではなく、戦後カメラの性能がどんどん進化する中でそれに投資できなかった事も大きな理由だったそうです。
 
そんな経緯もあり、私が子育てで一旦離れた花の仕事に戻ることを、父はこれまでの自分と重ね合わせて見ていたのかもしれません。
なんとなく応援してくれているのはわかっていたけれど、続けたくても続けられなかったことを心の奥にしまいながら、
支えてくれていたんだなと、その時初めて知りました。
 
というわけで、我が家の家族写真はプロのカメラマンによるもの。
この写真を撮影したカメラはリンホフだそうです。
私にはわかりませんでしたが、今朝兄からのLINEで知りました。
撮影&現像は父ですが、それを今回ご紹介用に私がスマホで撮影した次第です。

今、私がお花の仕事を続けているのを、きっと喜んでくれているんだろうと思っています。

  
父の話
 
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