お彼岸に寄せて
お彼岸に寄せて
春と秋のお彼岸には、お墓参りに行く習慣がありますが、その由来や意味をご存知でしょうか? かく言う私も、お彼岸と聞くと瞬時に「おはぎ」や「ぼたもち」が脳裏に浮かぶ以外、きちんと知らないことばかりだったので、この機会に調べてみました。
お彼岸はインド・中国にはない、日本固有の仏教行事です。
平凡社の『改訂新版・世界大百科事典』によると、春分・秋分を中日として、その前後3日ずつに仏事を行う習慣は、すでに平安初期には恒例となっていたそうです。 その背景には、古来より日本にあった、豊作に必要な太陽をまつる農耕儀礼や祖先崇拝の習慣があり、それらが徐々に仏教行事に組み込まれたと考えられるとか。 <参考文献:改訂新版・世界大百科事典 >
昼と夜の長さが同じになり太陽が真西に沈む、春分・秋分の日が中日とされているのも、太陽崇拝の影響と考えると、なるほどと思わされます。
我々が生きる現世、此岸(しがん)の向こう岸にあるのが彼岸(ひがん)です。 仏様のいる、悟りの境地とも言われています。 季節が変わる節目で、生命の彼岸に想いを馳せ、祖先や故人を偲ぶ日本独特の習慣。 仏教徒ではなくても、巡る月日の中で立ち止まり、現世の向こう岸について考える時間は大切にしたいと思います。
過去のフォルダを見ていたら、数年前の雨上がりに撮影した、彼岸花の写真が出てきました。 雨のしずくをまとった彼岸花は、長いまつげを涙で濡らしているようにも見えました。 彼岸の誰かを想っていたのでしょうか。 今年もまた同じ場所まで、彼岸花に会いに行きたくなりました。
文と写真 御木里空
お盆・お彼岸の最新記事
-
CATEGORY : ドームフラワー、仏花UPDATE : 2022/05/21
-
CATEGORY : 日本のしきたりUPDATE : 2020/07/13